生命保険会社の資産運用 ーほとんどが日本国債による低利回り運用が実態ー

我々が支払った保険料は、共有の準備財産として保険会社が管理し運用している。
将来の保険金の支払いに備えるため、また、契約者への還元をするために効率的で安定した資産運用をしている。
産業として巨大な市場となっている日本の生命保険会社の運用資産高。
はっきり言ってその運用方針次第で日本経済を左右しかねない規模の金額はどのように運用されているのだろうか?

資産運用の原則

生命保険会社の資産運用の原則は以下の4つの方針で運用されている。

安全性
当たり前だが、将来の保険金支払いに支障がないよう、安全に運用する。
収益性
予定利率以上に運用する必要があり、更に配当金の割当を多くして契約者の保険料負担を軽減するため常に収益性を考えながら運用する
換金性
流動性ともいえるが、保険金の支払いが集中した場合に備えたり、機動的な運用が出来るよう資産の一部を換金性のある預貯金、公社債などで保有する
公共性
資産は多くの契約者から支払われた保険料をもとに成り立っているので、国民経済や生活の向上に役立つような公共性を持った運用を行う

資産運用の現状

資産運用の現状(平成23年度)だが、総資産は約327兆円。
主な投資対象と割合は以下の通り

  • 有価証券‥株式、公社債などで約80%!なんと250兆円くらいだ。
  • 貸付金‥有担保を原則として、基幹産業、国民生活に関わりの深い産業、中小企業、住宅ローンなど幅広く、大体13%
  • 不動産‥自社営業用と投資用があるが、投資用不動産は貸し出して賃貸料を得たり、売却して売却益をえたり、普通の不動産投資とほぼ一緒、2%くらいだが、その額は巨額だ。大阪の人なら、新大阪駅の一角に名だたる生命保険会社のビルがいくつも立っているのをご存知だろう。あれ自体に資産価値があるし、あれを企業に貸す事で収益を得ているのだ。

この中で特に考えるべきは約8割にものぼる有価証券の割合だろう。公共性と呼ばれる原則にもとづいて国内の企業や公社債への投資をしているわけだが、株式への割合はそれほど多くない。それは安全性を重視しているからだ。もし、株式への割合が大きければ、この20年間のうちに、生命保険会社は破綻していただろう。リーマンショック時のアメリカの保険会社の破綻状況を見れば、やはり債券への投資比率を上げざるを得ないと思われる。

一言

と、いうことで生命保険会社は国民から払い込まれた保険料を、国民のため、国民にとって一番いい投資先に大量に投資している。そう、国債だ。あれだけ借金まみれな日本の国債が暴落しないのは、日本人が自国国債を自分たちで購入している事による信用が大きいといわれている。つまり銀行の預貯金と、この生命保険会社の責任準備金の投資先が国債だからだ、といわれているのだ。つまり、国民は貯金と生命保険料を介して、日本国債を買っている。そりゃ、利息も余剰金も少ないわけだ。だって、国債の利回りは30年ものでも1.5%程度なのだから、これ以上の利息が払われるわけが無い。

この金融資産の国内循環の仕組みが崩壊しないうちは、日本は安泰だろう。逆にこれが崩壊した瞬間、日本はデフォルト危機だ。結局生命保険も日本の金融機関だから、日本と心中である事に違いは無い。
日本がデフォルトにならない事を祈るのみだ。(税金をアップさせるか、政府の支出を減らすかどっちか回避策はないだろうが)


生命保険会社の仕組み ー生命保険会社が破綻したらどうなるの?ー

今まで簡単に生命保険というものについてふれてきましたが、そういえばそもそも生命保険会社とはなんぞや?という事を説明していなかった。
正直僕も、銀行など他の金融商品を扱う民間会社という認識しか持っていなかった。
実態としては、やはり金融を扱う会社というのはタダの民間企業とは一線違ったものなのです。

1.生命保険会社と保険業法

生命保険はその性質上、長期にわたるものが多いし、生活設計に重要役割を果たしているので、製品とそのもの自体の永続性と安定性が確保されていなければならない。
そのため、生命保険会社は通常の企業よりも更に厳しい基準で運営され、生命保険制度を健全に運営しなければならない。
国は、そんな生命保険事業が健全に運営される事により、保険契約等を保護するために「保険業法」を定めているし、生命保険事業を免許事業にした上で、金融庁が監督、規制を行っている。

2.生命保険会社の健全性

生命保険会社の健全性の指標は主に以下の2つ。

ソルベンシー・マージン比率
通常の予測を超えて発生するリスクに対して保険会社の支払い余力がどれくらいあるかを判断する指標。この比率が200%を切ると内閣総理大臣から「早期是正措置」がとられる。
基礎利益
保険会社の1年の保険本業の収益率を示す指標。保険本業とは収納した保険料や運用収益から保険金・年金・給付金を支払ったり、将来に備えて責任準備金を積立て、運用したりする事。

3.契約者保護のための特別措置

生命保険会社は契約者の保護を図るため、保険業法等法令に定める手続きをした上で、予定利率の見直しなど契約条件の変更を行う事が出来る。

これは、生命保険会社が契約者保護の為と言いながら、自分たちの都合で予定利率を下げる=保険料を上げたり、支払い保険金の額を引き下げたり出来る権利を有するという事である
もちろん、生命保険会社が破綻してしまっては元も子もないので契約者としても致し方ない所はあるかもしれないが、生命保険会社の破綻は、例えば運用において過剰なリスクを取り過ぎていたためなど、どちらかというと彼らの都合による所が大きく、そのツケを契約者側が尻拭いさせられる構造になっているのは、納得が行かない部分が大きい。

それでも、生命保険会社が破綻してしまった場合は、「生命保険契約者保護機構」によって、契約者保護の措置がとられる。
その補償対象は、全ての保険契約(ただし、再保険契約及び運用実績連動型保険契約の特定特別勘定(特別勘定特約を就かした団体年金保険契約等)を除く)で、破綻時点の責任準備金などの原則として90%までが補償される。ここで注意なのが、補償の対象は払い込んだ保険料の90%ではないという事だ。つまり払い込んだ保険料から保険金の支払い、契約維持の為の費用、事業継続の為の費用等を差し引いた後の将来の保険金等の支払いの為に積み立てられているお金=責任準備金が対象であるという事だ。

更にいうと、90%が保証されているわけではなく、最大90%までだという事も理解しておきたい。
例えば、掛け捨てタイプの保険であれば、責任準備金と万が一の時に予定していた保険金の差分はそれほど多くないが、比較的高利回りな年金タイプ等は今あるお金で将来の支払いをする為に運用する予定だったものが無いという事だから、思った以上に補償される額が少ないと感じるかもしれない。

もちろん、平成23年現在国内で免許を持っている生命保険会社は全てこの機構に加入している。何故なら、過去生命保険会社は7社破綻しており、その始まりであった日産生命の破綻時に加入を義務づけたからだ。その後、破綻した6社を救済する為に使われた金額は数千億にのぼる。

リーマンショックから始まった一連の恐慌時にアメリカ人がAIGなどの保険会社を救済する為に投入された税金はこんな額ではない。
日本でも海外でも、保険会社という巨大な金融機関を救済する為のツケを払わさせられているのは、我々契約者側だという事だ。

ちなみに、英マン島政府は金融機関が倒産したらマン島政府が投資資産の時価総額の最大90%を保証する、という手厚い保障をつけている。その為、多くの金融機関や保険会社がこぞって進出している。世界でも希少な保障だ。

4.相互会社と株式会社

生命保険会社の経営形態は相互会社と株式会社の2つしかない。
相互会社は、保険事業だけに認められている形態で、契約者は原則として社員となり、生命保険会社の運営に参加する。実際には総代をを選んで総代会で会社運営上の重要な事を決めているのだが。
余剰金は、相互会社の場合一定割合を社員配当として還元する。
株式会社では、契約者は保険の契約関係だけで、会社の運営には参加しない。利益金は一定の割合を契約者配当として還元する。

契約者本意の経営など、保険事業の性格から、どちらでもほとんど違いはないといわれている。
そして、何れにしても生命保険事業は経営規模が大きく、長期安定したものでなければならないため、生命保険会社は生命保険以外の事業による不足の損害によって健全な運営を損なう事がないよう、他の事業を営む事を制限されている。これを「専業主義」という。
生命保険会社は損害保険事業との兼営も禁止されている。そこで多くの生命保険会社は内閣総理大臣の認可のもと、子会社形態で生損保相互に乗り入れを行っている。
なお、生命保険は第一分野、損害保険は第二分野、医療保険や傷害保険など生保・損保どちらも取り扱える保険を第三分野という。

また、生命保険会社は定款にもとづき運営されている。
この定款には会社法及び保険業法によって、会社の組織、活動、運営について基本的規則など最低限記載しなければならない事柄が定められている。

一言

と、いう事で契約者側として知っておくべき事は、生命保険会社が潰れた場合、保険金の90%とか、支払った保険料の90%じゃなくて、破綻時点の責任準備金などの90%が保障の対象という事だ。
つまりその時に保険会社に存在していたお金の90%までが保障される。ちなみに、上で書いた通りマン島という、世界の金融機関の本社が密集している国の保障は投資資産の時価総額の最大90%を保証してくれるというものだ。投資資産へこれほど手厚い保障をするというのは、並大抵の覚悟では出来ないので、希少だ。
そもそも、S&Pなどの格付け会社の格付けを参考にすると、日本の金融会社の格付けは決して高いわけではない。海外の保険が危険だと思っている人は、ぜひグローバルな視点で見た方がいい。東京大学だって世界の大学ランキングで20位にすら入れていないのだから。


保険料の仕組み ー仕組みを知れば保険料に”お得”はないと知るー

今回は保険料の仕組みについて見て行きたいと思う。
保険料とは我々契約者が保険会社に払い込むお金の事だ。
もちろん、我々が万が一の時に受け取る保険金の元となっているし、保険会社の経費にもなっている。
なんでああいう価格設定になっているのか、少しでも理解が深まれば保険業が見えてくる。

1.保険料の仕組み

まず、保険料の仕組みは「収支相等の原則」という法則に基づいて考えられている。
これは、契約全体として収支を考えるため、契約者個々では保険会社に払い込まれる保険料と、支払う保険金は通常同額にならないが、契約者全体が保険会社に払い込む保険料の総額と、保険会社が受取人全体に支払う保険金の総額が相等しくなるようになっている、というものだ。

例としては、以下の通り。
1000人の40歳の男性が、各々2000万円の死亡保険(保険期間1年)を契約した場合、40歳の男性の死亡率を1000分の2とすると、
支払う死亡保険金総額=2000万円×2人=4000万円
よって、この保険金総額を契約者全員で公平に負担するため、一人当たりの保険料は
4000万円/1000人=4万円
となる。
だから、保険料総額は当たり前だが、4万円×1000人=4000万円となる。

このように、保険料総額と保険金総額は契約全体で見て一定になるように計算されているのである。

しかし、実際は亡くなる人の人数なんてわからないし、先にも述べた死亡率を含めた以下の3つの予定率にもとづいて保険料は計算されている。

予定死亡率
生命表という人口統計学において作成された表があり、そこに年齢・性別ごとに死亡率が記載されており、この死亡率をもとにして将来の保険金の支払いに当てるために必要な保険料を計算している。この時計算に用いられる死亡率を予定死亡率という。
予定利率
保険会社は、保険料の一部を将来の保険金の支払いに充てるために積み立てるが、積み立てた保険料を契約者にとって有利になるように運用している。保険料は運用によって得られる収益を予定して、実はあらかじめ一定の利率で割り引かれている、この利率を予定利率という。別途記載するが低金利時代において、過剰にリスクを取る事を出来ない生命保険業界の予定利率は総じて低い傾向にある。
予定事業費率
新規契約の募集や保険料の収納、契約の保全等ようは会社を運営して行く上で必要とする経費をあらかじめ保険料に組み入れていて、この割合を予定事業費率という。いわゆる普通の会社でいう販管費みたいなものだ。

よって、保険料の内訳は簡単に書くと以下の通りとなる。
保険料の内訳

  • 保険料‥契約者が払い込むお金
  • 付加保険料‥保険事業を維持・管理するための費用で予定事業費率を基礎として計算する
  • 純保険料‥将来の保険金支払いの財源となる部分で予定死亡率、予定利率を基礎として計算している
  • 死亡保険料‥死亡保険金支払いの財源となる部分
  • 生存保険料‥満期保険金支払いの財源となる部分

また、将来の保険金などを支払うために、保険料の中から積み立てているものを「責任準備金」という。
責任準備金は、預貯金などとは異なり、契約者全体の共有の準備財産なのだ。

平準保険料方式

保険料は契約期間中は基本的に保険料は上がらない契約になっている。
しかし、普通に考えれば年を取るごとに死亡や病気になる確率は上がるので、それは死亡率の上昇を意味するので、本来であれば保険料は毎年上がっていくものになる。しかし、保険料負担を平準化するために、若いうちに実際の死亡率よりも多めに支払い、年を取ってからは少なめに払うというこの方式が取られている。

つまり、若いうちに余分に支払っており、保険会社はその余計な分を多めに積立て(責任準備金)、運用して将来の支払いに備えていることになる。

保険料の割引

保険料の「セール」や「割引」といった、一時的なお得なサービスについて聞いた事はあるだろうか?
衣料品はもちろん、日用品、食品、そして金融商品でもローン等は一時的に割引等のサービスが行われている。
しかし、保険商品については、これらの「セール」や「割引」を行う事を法律で禁じている。
だから、ある期間に加入すれば割引があったり、特別ボーナスがあったりしてお得だ、などという期間は存在せず、予定死亡率、予定利率、予定事業率が一定のうちは、いつ保険に加入しても同じなのだ。
後に説明する、「ボーナス」も、結局は自分が払い込んだ保険料が、手数料をひかれて返ってくるに過ぎない。
保険に「お得感」を求めるのはお門違いなのだ。

一言

と、いう事で、この保険料の仕組みを理解すると、それぞれの保険会社が提供している保険の保険料の違いがわかるようになってくる。
もちろん、保障内容が違うから、という事もあるのだが、それぞれの保険会社が予定死亡率、予定利率、予定事業費率をどう予測しているか?なのだ。
予定死亡率は低く、予定利率は高く、予定事業費率は低く見積もるに越した事は無いが、度が過ぎると予想が大幅にズレてそのせいで会社が潰れて保障が受けれなくなっては意味が無い。
逆に、この低金利の時代では、予定利率を高くする事が出来ず、つまりは高い事業費率(経費)と過去の高い約束利回りを補填するため、死亡率を高くすることでその他の逆ざやを生める傾向が強い。
このあたりは、単純に利益を追求する普通の会社と、生命保険という公的なニュアンスの商品を扱う保険会社の違いといえるだが、同年代の公平性はあっても、世代間格差はあるのが実態だ。
もちろん保険料は安く、保険金はきっちり、がいいに決まっている。


生命保険の種類 ー基本はたった3種類しかないー

今回は、生命保険の基本的な種類について述べたいと思う。
主契約だの、特約だの、とにかく他の金融商品同様、複雑にする事で保険会社側の利益を見えにくくしている印象が強くややこしいが、生命保険の基本の型は少なく、ほとんどが応用となっているので基本をしっかり押さえたいと思います。

1.生命保険の基本型

現在、日本では49の保険会社で1000種類の保険があると言われているが、生命保険の基本型は以下の3つしかありません。

死亡(高度障害保障)保険
いわゆる「保障」と言われる保険リスクの引き受けにあたる保険。被保険者が死亡または高度障害になった場合のみ保険金が支払われる保険で、死亡保険にも以下の3つがある
・定期保険‥保険期間が定められているもの
・終身保険‥保険期間が被保険者の一生にわたるもの
・定期保険特約付終身保険‥終身保険に定期保険を上乗せして、一定期間死亡の場合の保障を大きくしたもの。保険の営業マンはこれを「老後の貯蓄プラン」ということがあるが、割高で富裕層等の相続対策用途以外は無用だと思っている。
生命保険会社の収益源は「死亡や医療事故の発生確率が予定より低い事」
先に紹介した収入保障型の生命保険もこれの変則型だ。
生存保険
いわゆる「貯蓄」と言われる運用資産の預かりにあたる保険。契約してから一定期間か満了するまで被保険者が生存していたら保険金が支払われる保険。代表的なものに「年金保険」や「貯蓄保険」がある
年金保険は生存保険金を年金形式で支払うもので、一定期間または終身にわたって所定の年金が支払われる
生命保険会社の収入源は「運用利率が契約者との約束利率よりも高い事」
生死混合保険
死亡保険と生存保険が組み合わさった保険(保障と貯蓄)で、被保険者が保険期間の途中で死亡または高度障害になったときや、保険期間満了まで生存した時に保険金が支払われるもの。
・養老保険‥死亡保険金と生存保険金(満期保険金)が同額のもの
・定期保険特約付養老保険‥養老保険に定期保険を上乗せしたもの。満期保険金より死亡の場合の保障を大きくしたい時はこちらだ。
過去、1980年代後半からは非常に高利回りをうたった養老保険が保険会社の主力製品として販売されていた。それが今、僕たちの世代に重くのしかかってきている。それについてはまた別の機会に述べたいと思う。

※多くの書物で、保険の基本3型といえば、定期保険、終身保険、養老保険という区分けをする場合が多いが、僕は”保障”と”貯蓄”という観点から、上記3つの区分けを用いている。
もちろん、定期保険、終身保険、養老保険の3つの区分けも基本3型といえる。

2.変額保険について

保険は、保険期間中に資産運用実績に応じて保険金額が変動するか否かで以下の2つに分かれる。
・定額保険‥契約時に定めた保険金額が保険期間中一定の保険
・変額保険‥保険期間中に保険金額が資産の運用実績に応じて変額する保険

変額保険は保険金額が運用の成果が上がれば大きくなるし、成果が上がらなければ小さくなる。つまり運用成果には投資に伴うリスクが大きいので定額保険の資産とは別に運用されている。
具体的には会計上、定額保険の資産は「一般勘定」で運用され、変額保険の資産は「特別勘定」で運用される。

変額保険はさらに以下の3つの種類がある

変額保険(終身型)‥終身保険タイプ
一生涯の死亡保障があり、死亡・高度傷害保険金額は運用実績によって毎月増減するが、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)は保証されている。
変額保険(有期型)‥養老保険タイプ
満期までの死亡保障があり、満期まで生存したときは満期保険金が支払われる。
死亡・高度傷害保険金額は変額保険(終身型)と同じく最低でも基本保険金額は保証されているが、満期保険金額は保証されていないので、運用実績に追っては基本保険金額を下回る可能性がある。
変額個人年金保険
資産の運用実績により、受け取る年金額や解約返戻金額などが変動(増減)する。

3.何に備えるか?で生命保険を切り分ける

生命保険は”リスク”に備えるものだ。だから、その切り分けで考えると以下のようになる。

死亡保障
生命保険の最もベーシックな役割の部分。世帯主が死亡したり、病気になったりして収入が無くなって家族が路頭に迷うリスクへの所得保障など
医療保障
不意の事故や病気、または老後の医療費がかさむリスクへの補填保障など
生存保障
長生きする為の生活費、将来に備える為の貯蓄など
損害補償
これは生命保険ではないが、保有する資産(住宅の火災や地震による損壊、自動車事故による破壊など)が毀損するリスクの補償など

なお、生命保険の事を第一分野、損害保険の事を第二分野、医療保険や傷害保険等生命保険・損害保険のどちらでも扱う事が可能な保険を第三分野という。

一言

と、いう事で生命保険は簡単に言うと生死に関わる3パターンで分類され、さらに支払われる金額の変動の有無で2パターンにわかれ、後は特約とかで分かれるという事だ。
個人的には、リスクヘッジである生命保険に変額というリスクを背負って運用成績を求めるくらいなら、余分に支払う保険料を節約して他のもので投資することをおススメする。
生命保険はとにかく複雑。主契約では足りない所を特約を後付けて設計しているため、販売する側も、契約する側も自分がどんな保険に入っていたのかを忘れてしまうし、比較対象が本当に比較するべきものなのか悩ましい。
まるで、複雑にする事で契約者側にリスクに対する理解を誤らせる事、比較させないことによって言値で契約を迫ることを目的に金融工学を駆使して作られた金融商品のようだ。


生命保険の基本的な考え方 ー超基本的用語とOne for all, All for one-

今回は生命保険の仕組み。一体どういう仕組みで考えだされたモノなのかを簡単に解説する。

1.保険契約に関する基本的な用語

ここに出てくる5つは超基本ながら、超重要な用語だ。
誰が契約者で誰が保険の対象者で、誰が受取人か。そして保険料と保険金は似ているが支払と受取の違いがあり、会話の中では混乱を招くのでしっかり覚えておきたい。

保険契約者
保険会社と保険契約を結び、契約上の一切の権利(契約内容変更の請求権等)と義務(保険料支払い義務等)を持つ人。
被保険者
その人の生死、災害及び疾病に関して生命保険の対象となっている人。
保険金受取人
契約者から保険金の受け取りを指定された人。
保険料
契約者が保険会社に払い込むお金の事。その額は、保険種類、契約時の被保険者の年齢、性別、保険期間、保険金額などによって決まる。
保険金
被保険者の死亡、高度障害、満期(生存)等の時に保険会社から保険金受取人に支払われるお金の事で、それぞれ死亡保険金、高度障害保険金、満期保険金という。

2.相互扶助という仕組み

前回言葉だけ出して説明しなかったが、相互扶助の精神とはいわゆる「一人は万人の為に、万人は一人のために」である。
だから、貯蓄と生命保険は違うのだ。という理屈。

貯蓄は、自分が払い込んだものに利息がついて戻ってくるもの。現金による預金であれば日本への投資、そして、銀行にとっての負債。
生命保険は、自分が払い込んだものが他の多くの人を助けるために使われ、自分が助けられるときは他人が払い込んだものが使われる。
なんだか、性善説みたいな話だが、基本的に生命保険はそういう性質のものだ。
大勢の人がお金を出し合って共有の準備財産を作り、万一の時にその中から纏まったお金を出して互いに助け合う。

つまり、預貯金の場合は、それまでに積み垂れられた元利合計額が返ってくるだけだが、
生命保険は一般的に「保障機能」がついているため、万一契約期間の途中で死亡した場合は、加入直後の死亡事故でも、約束(契約)した補償額の死亡保険金を受け取れる。
ただ、逆に一般的に定期保険等の死亡保障では預貯金のような貯蓄機能はない。
だから、この2つ(保障機能と、資産運用機能)はバランスよくする必要がある。

簡単に図にするとわかりやすいのだが、下が貯金と定期保険の違い。
貯金は徐々に貯まっていくので最初は心もとないが後々増えてくる。それに対して定期保険は最初から必要な額を保障してくれる。
一般的な預金と生命保険の図
そして、これを見てもらえればわかるが、保障だけに焦点を当てると、資産が自分で作れていくと保証金額が過剰になってくるのだ。
もちろん、老後のための資金としての資産形成分があるので一概には言えないが、保障を減らすことによって支払保険料を抑えることで、より資産形成ができる商品も出てきている。それが「収入保障型」の生命保険だ。

つまり、貯蓄の増加とは逆三角形な概念の保険だ。
貯金と収入保障保険の図
僕個人的にはこれが安価で合理的だなと感じている。

最後に、定期保険と収入保障保険は以下のような違いになる(実際は収入保障保険は最後2年程度は定期保険のように一定額が保障される)。
定期保険と収入保障保険の図

話が飛んでしまったが、貯金と保険は別だ、ということだ。

3.公平な危険分担

生命保険は、その加入者それぞれの分担金を公平にするため、危険分担という考え方がある。
昔の制度では年齢によって分担金(保険料)に差がなかったので、老若男女が同額を分担していた。それじゃ不公平だ。老人は死亡率が高いし、女性は長生きだし。
だから、現在の生命保険制度では、死亡率という統計数値を使いそれぞれの年齢・性別に応じた保険料を算出し、公平かつ合理的に助け合うようになった。
このような事が可能になったのは、人間の年齢別死亡率にも「大数の法則」が当てはまる事が発見されたからだ。

「大数の法則」‥数少ない経験では何の法則も無いような事でも、数多くの経験を集めると、一定の法則がある。ということ。

例えば、日本人の40歳男性の死亡率の推移は、毎年1,000人中、大体1.3人とほぼ一定である。

そして、生命保険には「危険度」という概念があり、この危険度が高いと保険料が高かったり、他の加入者を守るために保険に入れなかったりする。
なぜなら、この「危険度」が一定の範囲内に無いと死亡率が大数の法則からはずれ、そもそもの仕組みが破綻する危険があるからだ。

だから、生命保険加入の際には、被保険者の健康状態などが一定の範囲になるように選択(審査)する事が必要であり、そのために告知を義務づけたり、診査を行ったりしている。

そして、保険会社は大数の法則を応用して過去のデータから死亡率や災害事故の発生率を求め、将来の死亡率などを見込んでいるし、
その死亡率から性別・年齢に応じて個人の負担額を決めている。性別・年齢で異なる死亡率をベースに、公平な危険分担を図っているのだ。

死亡率
ある年齢の人が1年間に死亡する割合。算式だと ある年齢の人の 1年間の死亡者数/年始の生存者数=死亡率
生命表
ある集団(性別・年齢別)について死亡率を観察し、人の生死の法則を表にしたもの(これだけ聞くと恐ろしい表だな)

一言

と、いう事で保険は「一人は万人のために、万人は一人のために」という相互扶助の精神から生まれているということだ。大数の法則というのは確かに当てはまるかもしれない。確率論によって将来支払うべき金額を定める(つまりは人の死ぬ確率という事だ)というのは、あまり気持ちのいいものではないのかもしれないが、貯蓄とは違う保障を与えてくれるというのはある期間を見れば、検討の余地があるのではないかと思う。まさに保険とは「時間を買う」という感覚といえるのではないだろうか。危険度、という概念もなかなかお目にかからない概念だ。


生命保険の役割とは? -生命保険は日本を支える超巨大産業ー

生命保険に加入を検討するにあたって、いろいろ昔勉強したので、自分の思う所を交えながら
まずはそもそも生命保険って何だ?って所から生命保険の仕組みについて紹介していきたいと思う。

このシリーズを読む事によって、そこら辺の生命保険募集人と同等もしくはそれ以上に生命保険というものを理解出来るようになると思うのでかなりのボリュームだがちょっとずつ読み進めてほしいと思う。

1.生命保険の起源

過去から人間は集落生活や大家族生活の中で、共同保障の工夫をしてきた生き物だが、近年になり産業が発達するなかで社会的分業が進み、核家族化が進んでしまった。
それ自体が悪いわけではないのだが、まだ女性は専業主婦というのが当たり前な時代だったので一家の主な収入源となる者が死亡した場合に残された家族の生活への影響が大きかった。そこで、相互扶助の理念によって助け合う生命保険が考えだされたのだ。
ちなみに、日本では慶応3年(西暦1867年)、福沢諭吉が欧米の保険制度を紹介した事から、明治時代になって生命保険会社が設立されたのが最初だそうだ。

2.生命保険の必要性

これについては今更語る必要もないが、もちろん、万が一の時為のリスクヘッジであろう。
しかし、病気や災害などによる死亡の場合の遺族保障、病気やケガに対する医療資金の確保や老後の生活を保障する方法として、子供の教育・結婚、住宅資金の確保など、実は幅広い用途がある。
相互扶助の精神から生まれ、危険が綿密に分析・計算された上で即座に大きな保障を得られる生命保険は「人間の英知の結晶」と言われている。オーバーだと思うけど。。。
僕個人としては、万が一のときの遺族保障と、医療保障くらいしかいらない、というかそれ以外は別の方法で資金を作った方がいいと思っている。

3.生命保険を必要とする社会的背景

一.核家族化と自己責任意識
先に述べた通り、核家族化に伴う自己責任(生活に必要な保障は自己の責任において準備すべき)という考えが広がった事
二.生活習慣病と災害
生活の欧米化に伴い、昔では考えられなかった生活習慣病や、交通事故、労働災害など死傷疾病の原因が多様化してきた事
三.老後に対する不安の増大
戦後、日本の平均寿命は劇的に増加したため、老後に豊かな生活を送る為に必要な資金の確保が重要な課題となっている事
※ちなみに、各年齢の人が将来平均して生きられる年数を「平均余命」、0歳児の平均余命を「平均寿命」という
平成23年時点の平均寿命は男性79歳、女性86歳である。将来は90歳を超えるなんていう説もあるし、定年60歳、65歳などというレベルではなくなってくる。
四.その他の保障制度
老後の生活、家族の生活を守る為の保障は
・個人保障(生命保険など)
・社会保障(国や地方自治体が行うもの)
・企業保障(企業が行うもの)
があるが、社会保障、企業保障に頼らずに自主的に保障をつけようとする動きが加速してきた事

・社会保障制度‥国民年金、健康保険、介護保険など国民に一定水準の生活を保障し、国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む事が出来よう社会政策として実施しているもの。最強の保険商品だが、世代間格差をはじめとする様々な問題が錯綜する中、「社会保障と税の一体改革」が叫ばれ、今後の存続すら危ぶまれている状況だと僕は思っている。たぶん、僕たちの世代は相当な支給額の減額と支給時期の後ろ倒しが待っているだろう。

・企業保障制度‥企業が従業員の福利厚生制度の一環として実施しているもの。退職金制度、弔慰金制度、財産形成制度などがある。厚生年金はすでに401Kになっていたりと、徐々にこちらも企業が保障を放棄し始めており、より自分の将来は自分で作らなければならない時代が来ているのだと感じる。

人間社会の中で”助け合い”の方法は「自助」「公助」「共助」があると言われているが、このうち所得が伸びず、また格差が拡大していく日本において「自助」だけでやりくり出来る人は少なくなるだろうし、頼りの「公助」はご存知のとおり国家レベルで財政が圧迫しており将来的に頼りになるか疑問であり、「共助」の考え方を持つ民間の生命保険が担う役割は日々増してきているのかもしれない。

4.生命保険の現状

民間生命保険は平成23年末現在で
・契約件数 : 1億8652万件
・契約高  : 1335兆円
・総資産  : 327兆円
・諸支払金 : 31兆円(保険契約に基づいた保険金受取人への何かしらの支払いの合計)
・世帯加入率: 90.5%
となっている。
超巨大市場だ。生命保険会社はさぞ儲かっているのかと思っていたけど、この後で述べる通りやはり契約者への支払い等普通の企業とは少し毛色が違う。
アンケートによると、契約者の3分の1以上の人が保障内容に充足感がない状況。原因の一つには、保険の営業マンに勧められるまま、商品が複雑なのでよく理解しないまま加入している事があげられるだろう。

一言

個人的には、生命保険といえども民間企業がサービスとして提供しているものだから、自由競争だし利益追求かと思っていたが、起こりと背景から、実は公的なイメージの方が強いという事を感じだのが意外だった。
それにしても、総資産327兆円とは。。。
平成25年度一般会計予算は約92.6兆円だぞ、、、どこまで巨大な産業なんだ。。。まあ、大体毎年流動する資産は40兆円前後らしいが、国家予算の半分くらいの産業規模か、比較対象がおかしいけど。
ちなみに、平成24-25年度の総合商社で72兆円、家電で60兆円、自動車、小売で52兆円、金融で47兆円規模です。

※ちょっと切り口が違いますが、日本の市場規模マップの図。
2014市場規模マップ
そして国内GDPは名目GDPで500兆弱、実質GDPで500兆強(うーん、デフレ(笑))となっており、つまりは国内で創出された付加価値の10%弱という金額を、保険に還流させているという事がわかる。そこから、いかに生命保険業界が日本の産業に対して重大な地位を占めているかがわかるだろう。
ちなみに消費税が1%上がると、大体税収は2〜2.7兆円増えるという試算が多くありますが、保険料も1%下げる努力をしたら、4000億円くらい浮くんだよな。