公的死亡保障生命保険 遺族年金制度についてお勉強してみる3 ~第一号被保険者向け制度とまとめ~

遺族年金制度について勉強してみようという事でスタートした纏めの第三回目。

今回は主にサラリーマンが受け取れる遺族厚生年金に対して、自営業者など第一号被保険者(任意加入被保険者、旧法の国民年金被保険者を含む20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人等、第2号被保険者、第3号被保険者でない人の事)が死亡した際にその遺族が受け取ることができる遺族年金制度、具体的には以下の寡婦年金、死亡一時金という制度についてみていきたいと思う。

寡婦年金

第1号被保険者として、老齢基礎年金の受給資格期間を満たした夫が老齢基礎年金の支給を受けずに死亡した場合において、妻が60歳に達した日の属する月の翌月(夫の死亡時すでに妻が60歳以上の場合は夫の死亡日の属する月の翌月)から65歳に達する日の属する月まで支給される。

つまり、老齢年金を受け取るまでのつなぎ期間、老齢基礎年金の受給資格を満たしたんだけどもらう前に夫が死んでしまった人がもらえる年金という事だ。

支給要件

細かい支給条件は、

死亡した夫の側
・国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間・保険料免除期間(学生納付特例・若年者納付猶予期間を除く)とを合算して、死亡日の属する月の前月までに25年(特例の場合は21〜24年)以上あること(第2号被保険者、特例任意加入被保険者期間は含まない)
・障害基礎年金の受給権者であったことがない(裁定を受けていない)こと(実際に障害基礎年金を受けたことがなくても、寡婦年金は支給されない)、なお旧法の障害福祉給付はここでいう障害基礎年金に含まない。
・老齢基礎年金の支給を受けていないこと
妻の側
・夫によって生計を維持していたこと
・夫との婚姻期間が10年以上継続したこと
・65歳未満であること(年齢の下限は問わない)

となります。共働きのサラリーマン世帯向けではなく、自営業者等の夫を持つ専業主婦向けの制度だ、ということですね。

支給額

夫の死亡日の前日における、老齢基礎年金額(第1号被保険者期間に係る額)の計算の例によって算出した額の4分の3に相当する額

支給停止・受給権の消滅
  • 夫の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間、その支給が停止される。
  • 労災保険の遺族(補償)年金が支給される場合は、寡婦年金は全額支給され、調整は労災保険の側で行う。具体的には、寡婦年金のみの受給の場合、遺族(補償)年金は88%に減じられる。
  • 妻が65歳に達したとき、または再婚したとき、直系血族・直系姻族以外の者の養子となったときは、寡婦年金の受給権は消滅する。

さらに、年金が複雑と言われるひとつに、併給が受けれるのか受けれないのか?という事が非常にわかりにくい事があるが、この場合もそれに該当する。具体的には、

  • 夫の死亡により寡婦年金と死亡一時金の双方の受給権を満たす場合、妻の選択によりどちらか一方のみが支給される。
  • 寡婦年金と遺族厚生年金は併給することはできない
  • 夫の死亡についてすでに遺族基礎年金を受給していたとしても、要件を満たしたときは寡婦年金を受給できる。
  • 老齢基礎年金の支給繰上げを請求した場合、寡婦年金の受給権は消滅する。
  • がある。

死亡一時金

第1号被保険者として36月以上保険料を納付した者が、老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けずに死亡し、かつ遺族基礎年金も支給されない場合に、対象となる遺族に一時金を支給する。

支払要件
死亡した者側
  • 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者、特例任意加入被保険者、旧法の国民年金被保険者を含む)期間に係る保険料納付済期間(保険料免除期間は、納付した残余の額に相当する月数で計算)の月数が36月以上あること
  • 老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがないこと(母子福祉年金または準母子福祉年金から裁定替えされた遺族基礎年金を含む)
遺族側
  • 死亡した者の死亡当時に、その者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であることで、支給優先順位はこの順となる。同順位の者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
  • 遺族基礎年金の支給を受けることができる遺族がないこと(同一月に受給権消滅・支給停止となった場合を含む)
    • 上記、平成26年改正前の遺族基礎年金における父子家庭の事例では、夫には遺族基礎年金は支給されないが、妻が要件を満たした場合には夫に死亡一時金が支給されることとなっていた。
    • 遺族厚生年金はこれに含まれないので、遺族厚生年金と死亡一時金は併給することができる。
支給額

死亡した者の保険料納付済期間に相当する月数に応じて、以下の金額が支給される。
36月以上180月未満 – 120,000円
180月以上240月未満 – 145,000円
240月以上300月未満 – 170,000円
300月以上360月未満 – 220,000円
360月以上420月未満 – 270,000円
420月以上 – 320,000円
死亡者が付加保険料を3年以上納付していた場合、死亡一時金に8,500円が加算される。

ということで、2つの制度を見てきたが、やはり第二号被保険者向けの遺族厚生年金に比べると支給額という面では見劣りするのは否めない。
サラリーマンが優遇されている面の一つではあるといえるが、自営業者はそもそもサラリーマンと同等の額面収入があっても税制等の面などを考慮してリッチな場合が多いし、自分でお金を責任もって管理している分、金融というものが身近で、知識もあり、対策をバッチリしている人が多いのでこういう制度を利用することを前提でいる人は少ないんじゃないかと思う。

と、いうことで大きく4つの遺族年金について確認してきた。
ここでわかる通り、子供のいるサラリーマン世帯であれば、少なくとも税考慮前で150〜200万円程度遺族年金が受け取れる可能性が高いと言える。

ここに、企業が用意している福利厚生制度による遺族保障があるとするならば、更に保険金は少なくても済むのではないだろうか?
福利厚生制度は各企業によって違うため、是非自分の家族が勤めている会社の福利厚生制度を確認して、国と企業がどこまで遺族に対して保障してくれるのかを、正確に把握しておきたい。

そして、自営業者等の場合でまったく対策をしていないという人は、これらの保障が少ない分、きっちりと民間保険か自分自身で備えを作っておきたい。


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