生命保険の基本的な考え方 ー超基本的用語とOne for all, All for one-

今回は生命保険の仕組み。一体どういう仕組みで考えだされたモノなのかを簡単に解説する。

1.保険契約に関する基本的な用語

ここに出てくる5つは超基本ながら、超重要な用語だ。
誰が契約者で誰が保険の対象者で、誰が受取人か。そして保険料と保険金は似ているが支払と受取の違いがあり、会話の中では混乱を招くのでしっかり覚えておきたい。

保険契約者
保険会社と保険契約を結び、契約上の一切の権利(契約内容変更の請求権等)と義務(保険料支払い義務等)を持つ人。
被保険者
その人の生死、災害及び疾病に関して生命保険の対象となっている人。
保険金受取人
契約者から保険金の受け取りを指定された人。
保険料
契約者が保険会社に払い込むお金の事。その額は、保険種類、契約時の被保険者の年齢、性別、保険期間、保険金額などによって決まる。
保険金
被保険者の死亡、高度障害、満期(生存)等の時に保険会社から保険金受取人に支払われるお金の事で、それぞれ死亡保険金、高度障害保険金、満期保険金という。

2.相互扶助という仕組み

前回言葉だけ出して説明しなかったが、相互扶助の精神とはいわゆる「一人は万人の為に、万人は一人のために」である。
だから、貯蓄と生命保険は違うのだ。という理屈。

貯蓄は、自分が払い込んだものに利息がついて戻ってくるもの。現金による預金であれば日本への投資、そして、銀行にとっての負債。
生命保険は、自分が払い込んだものが他の多くの人を助けるために使われ、自分が助けられるときは他人が払い込んだものが使われる。
なんだか、性善説みたいな話だが、基本的に生命保険はそういう性質のものだ。
大勢の人がお金を出し合って共有の準備財産を作り、万一の時にその中から纏まったお金を出して互いに助け合う。

つまり、預貯金の場合は、それまでに積み垂れられた元利合計額が返ってくるだけだが、
生命保険は一般的に「保障機能」がついているため、万一契約期間の途中で死亡した場合は、加入直後の死亡事故でも、約束(契約)した補償額の死亡保険金を受け取れる。
ただ、逆に一般的に定期保険等の死亡保障では預貯金のような貯蓄機能はない。
だから、この2つ(保障機能と、資産運用機能)はバランスよくする必要がある。

簡単に図にするとわかりやすいのだが、下が貯金と定期保険の違い。
貯金は徐々に貯まっていくので最初は心もとないが後々増えてくる。それに対して定期保険は最初から必要な額を保障してくれる。
一般的な預金と生命保険の図
そして、これを見てもらえればわかるが、保障だけに焦点を当てると、資産が自分で作れていくと保証金額が過剰になってくるのだ。
もちろん、老後のための資金としての資産形成分があるので一概には言えないが、保障を減らすことによって支払保険料を抑えることで、より資産形成ができる商品も出てきている。それが「収入保障型」の生命保険だ。

つまり、貯蓄の増加とは逆三角形な概念の保険だ。
貯金と収入保障保険の図
僕個人的にはこれが安価で合理的だなと感じている。

最後に、定期保険と収入保障保険は以下のような違いになる(実際は収入保障保険は最後2年程度は定期保険のように一定額が保障される)。
定期保険と収入保障保険の図

話が飛んでしまったが、貯金と保険は別だ、ということだ。

3.公平な危険分担

生命保険は、その加入者それぞれの分担金を公平にするため、危険分担という考え方がある。
昔の制度では年齢によって分担金(保険料)に差がなかったので、老若男女が同額を分担していた。それじゃ不公平だ。老人は死亡率が高いし、女性は長生きだし。
だから、現在の生命保険制度では、死亡率という統計数値を使いそれぞれの年齢・性別に応じた保険料を算出し、公平かつ合理的に助け合うようになった。
このような事が可能になったのは、人間の年齢別死亡率にも「大数の法則」が当てはまる事が発見されたからだ。

「大数の法則」‥数少ない経験では何の法則も無いような事でも、数多くの経験を集めると、一定の法則がある。ということ。

例えば、日本人の40歳男性の死亡率の推移は、毎年1,000人中、大体1.3人とほぼ一定である。

そして、生命保険には「危険度」という概念があり、この危険度が高いと保険料が高かったり、他の加入者を守るために保険に入れなかったりする。
なぜなら、この「危険度」が一定の範囲内に無いと死亡率が大数の法則からはずれ、そもそもの仕組みが破綻する危険があるからだ。

だから、生命保険加入の際には、被保険者の健康状態などが一定の範囲になるように選択(審査)する事が必要であり、そのために告知を義務づけたり、診査を行ったりしている。

そして、保険会社は大数の法則を応用して過去のデータから死亡率や災害事故の発生率を求め、将来の死亡率などを見込んでいるし、
その死亡率から性別・年齢に応じて個人の負担額を決めている。性別・年齢で異なる死亡率をベースに、公平な危険分担を図っているのだ。

死亡率
ある年齢の人が1年間に死亡する割合。算式だと ある年齢の人の 1年間の死亡者数/年始の生存者数=死亡率
生命表
ある集団(性別・年齢別)について死亡率を観察し、人の生死の法則を表にしたもの(これだけ聞くと恐ろしい表だな)

一言

と、いう事で保険は「一人は万人のために、万人は一人のために」という相互扶助の精神から生まれているということだ。大数の法則というのは確かに当てはまるかもしれない。確率論によって将来支払うべき金額を定める(つまりは人の死ぬ確率という事だ)というのは、あまり気持ちのいいものではないのかもしれないが、貯蓄とは違う保障を与えてくれるというのはある期間を見れば、検討の余地があるのではないかと思う。まさに保険とは「時間を買う」という感覚といえるのではないだろうか。危険度、という概念もなかなかお目にかからない概念だ。


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