生命保険に関する法律 その1 ー保険業法、金融商品販売法は特に重要だー

ここでは生命保険に関する法律をいくつか紹介しようと思う。
保険契約は、金融商品に分類されているので、保険に関する法律から、金融商品取引に関する法律、消費者保護に、個人情報保護まで、いくつかの法律が絡んでくる。基本的には消費者は弱者扱いで、その弱者をいかに強者から守るか?という観点で作られている。実態が伴っているかいないかは、別の話だが。

1.保険業法

保険業法」は、生命保険募集人がその使命を十分に遂行し、正しい販売活動をするよう守るべきルールを定め、契約者等の保護を図るものだ。

まず内閣総理大臣に登録申請し、受理されてはじめて生命保険募集人になれる。
生命保険協会では、生命保険募集人として最低限の知識水準を定め、その習得状況の確認、お客に信頼される資質と能力があるか確認するため「一般課程試験」を実施している。もちろん、これに合格し、生命保険募集人登録が完了すると、保険募集をする事が出来る。僕はもちろん、この資格を有している。

しかし、あなたの周りも「保険に加入したかったら、紹介してあげるよ」と言ってくる人はいないだろうか?
その人はもしかしたら、この資格を有していない、つまりこの資格を有している人を知っているだけの人かもしれない。

さて、生命保険募集人は2社以上の保険会社と生命保険募集人として登録する事(二重登録)は出来ないし、原則として2社以上の保険募集(乗り合い募集)もできない。これは契約者等の保護の目的のためらしい。

しかし、最近は「代理店」という形態を取る事により、複数の保険会社の商品を取り扱える企業/個人が増えてきた。
契約者側の我々としては非常に効率よく比較検討出来るのでありがたいが、それぞれの保険会社のインセンティブは違うため、やはり代理店によって勧めてくる保険に偏りがあったりするので注意しなければならない。

そして、生命保険募集人には2つの種類がある。
媒介」‥生命保険募集人は契約申込の勧誘が出来るだけで、契約の成立には保険会社の承諾が必要
代理」‥生命保険募集人が承諾すればその契約が成立し、効果が保険会社に帰属する。

そして、保険募集に関する禁止行為は以下の通り。生命保険募集人が以下の行為をしたら、、、皆様にお任せします。

  1. 虚偽の説明‥生命保険契約に関する事項に就いて、事実と異なる事を告げる事
  2. 重要な事項の不説明‥生命保険契約に関する重要な事項の説明を省略したり、都合の良い部分のみ説明する事。「重要な事項」とは、商品の仕組み、保障内容、保険料、告知に関する事項、解約返戻金に関する事項等、契約者が合理的な判断をするために必要となる事項。
  3. 告知義務違反をすすめる行為‥被保険者(または契約者)が生命保険会社に告知を行うにあたり、虚偽を告げるようにすすめたり、事実を告げるのを妨げたり、事実を告げないようにすすめる事。
  4. 不適切な乗換募集‥契約者または被保険者に対して、不利益となるべき事実を告げずに既契約を消滅(解約・失効など)させた上で新規契約の申込をさせたり、新契約の申込をさせた上で既契約を消滅させる事。
  5. 特別利益の提供‥保険料の割引・割戻や金品その他の利益を提供したり、提供する事を約束する事
  6. 威迫、業務上の地位の不当利用‥契約者または被保険者を脅したり(威迫)、職務上の上下関係などを不当に利用して保険契約の申込をさせたり、既契約を消滅させる行為。
  7. 誤解させる恐れのある表示・説明‥契約者に誤解させる恐れのある表示や説明をする行為。
    • 客観的事実にもとづかない事項や数値を表示する事
    • 一般的に同じ種類の保険ではないものを、同じ種類の保険のように比較した資料を使用したり、説明したりする事
    • 客観的な根拠を示さずに業界序列や優位性等を意味する用語を使用する事。また、一部の数値や資料のみを使って、説明したりする事
    • 先進医療による治療を給付事由とする場合等、その給付対象には一定の制限条件があるにもかかわらず当該条件を表示しない事、医療費の自己負担額について過大に認識させる恐れのある表示をする事
  8. 断定的な予想配当等の表示・説明‥将来受け取れる配当金や変額保険の保険金など、確実ではない事実について確実であると誤解させるような資料を使ったり説明したりする事
  9. 誹謗中傷‥特定の保険会社の信用・支払い能力などに関してその劣っている点を不当に強調したり、他社の保険契約の内容について、具体的な情報を提供する目的ではなく、その保険会社を陥れる目的で短所を不当に強調したりする事

「保険業法」では、「保険募集に関して著しく不当な行為」として契約者保護に欠ける行為を規制しており、違反した場合は、違反内容によるが行政処分、司法処分が下る。各社の社内規定等によっても処分される事もある。

2.消費者契約法

この法律は事業者側が、事実と違う事を言ったり、不確実な要素について断定的な判断を示したり、不利益となる事実を告げないなどの不適切な勧誘方法によって、契約者側が誤認または困惑して締結した契約に就いては取り消す事が出来るというもの。

誤認に気がついたときや、困惑の状況から解放されたときから6ヶ月以内で、契約締結時から5年以内である事が条件。

消費者の利益を不当に害する事となる条項(契約内容)については、その全部または一部を無効とする事で、消費者の利益の保護を図っている。
消費者契約を広くその対象とし、保険解約もこの法令の対象に含まれる。

3.金融商品の販売等に関する法律(金融商品販売法)

金融商品の購入にあたっては、契約者側も十分にリスク等を認識する必要がある事は当然だろう。
この法律では、金融商品を販売する側が、金融商品の重要事項の説明を義務づける他、契約者の知識・経験・財産の状況や取引目的に照らし合わせてふさわしい説明をしなければならない旨を定めている。

生命保険募集人に対してもこの法律は適用される。生命保険の募集にあたっては、保険会社の定める資料等にもとづいて、必ず重要事項の説明をしなければならない。もし、重要事項を説明せずに契約者が損害を受けた場合は、金融商品販売業者が損害賠償責任を負う事になる。
金融商品販売業者とは、保険会社の他に募集代理店や保険仲立人も含まれる。

ちなみに、この金融商品販売法と、次回説明する金融商品取引法はもめやすい。
重要事項説明を受けた旨の一筆を求められ記載するのだが、何を説明され、何を説明されていないかを覚えている人は少なく、自身が損害を被った時に、言ったいわないの水掛け論に発展する可能性があるのだ。
そして、多くの場合保険会社側の過失を求められる事は少なく、契約者側が泣き寝入りする場合が多いのが実情だ。

また、金融商品販売業者は、金融商品を販売するための勧誘方針を策定、公表しなければならない。

一言

冒頭にも書いたとおり、生命保険は金融商品ゆえ、保険業法にとどまらず、金融商品販売法、消費者契約法など多くの法律が準用されている。契約するだけであれば特に知る必要もないのだが、多岐にわたるのでその2に続きます。


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